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生前に資金援助を受けると相続分が減る?

たとえば被相続人が生きている間に、その子どもたちの中でひとりだけ結婚資金を援助してもらった人がいるとします。その子は遺産相続で援助してもらった分だけが差し引かれることになるのでしょうか?生前の資金援助が相続に及ぼす影響に関して説明します。

■生前の不平等な資金援助は相続トラブルの火種

AS_68632698遺産相続に際して、それまで仲が良さそうに見えた兄弟姉妹の間に深い溝ができてしまうケースは少なくありません。たとえば、特定の子どもにだけ住宅購入資金や結婚資金等を援助していた場合です。数百万円あるいは数千万円もの援助をすでに受けている兄弟姉妹と遺産分割が同じ割合では、納得できないという心理があってもそれを批判することはできないでしょう。

被相続人から生前に受けた援助の中でも、相続に際して問題になるものとならないものがあります。たとえば、結婚や養子縁組のため、または生計を立てるための資本としての贈与は特別受益と見なされます。特別受益を受けた子がいる場合はその分を考慮して財産を分配するようにしなければいけません。しかし、特別受益ではない曖昧な資金援助はトラブルの火種にもなるので注意が必要です。

■特別受益とは具体的にどのようなものなのか

「子どもの頃から一方の子ばかりがお小遣いをもらっていた」「誕生日プレゼントが一方の子にしかなかった」というようなケースだと、心情的には不平等感はけっして小さくありませんが、特別受益にはあたりません。ただし、それが数百万円、数千万円にものぼる場合には特別受益と見なされるケースもあります。

一方で特別受益とされるのは、結納金、持参金、挙式費用、新婚旅行費用、住宅購入資金、開業資金、大学進学費用、留学費用、生命保険金などがありますが、金額が少なかった場合には対象外とされることもあります。

いずれにしても、ある程度高額で、その子の人生に何らかの利益を大きくもたらしたものと考えられるものが特別受益となることが多いようです。一方の子が不平等と感じていたかどうかは判断基準にはならないのです。

■特別受益があった場合の相続額の算出法

特別受益があった場合にはその分を加算した「みなし相続財産」を基本として相続額の分配額を算出することになります。

AS_68556412たとえば2,000万円の財産を二人兄弟で分配する時、一方のみが生前に400万円の特別受益を受けていたとしましょう。その場合、2,000万円に400万円をプラスした2,400万円がみなし財産とされます。そして2,400万円の法定相続分1,200万円から400万円を引いた800万円が相続分となります。生前に特別受益を受けなかった子の方が法定相続分よりも400万円多く受け取ることができるようになり、不平等感が払拭されます。

■特別受益の申請の流れ

特別受益はそれを受けていない相続人が主張することになりますが、証拠となりうるものを揃えておく必要があります。たとえば、被相続人の金融機関の残高証明、取引履歴など明らかに一部の相続人だけに生前に金銭の贈与があったことを証明するものがなければいけません。根拠をもとに相続人の間で話し合いによって解決する場合もありますが、こじれてしまうケースも少なくありません。

当人同士で決着がつかない場合には家庭裁判所に申し立てをして、遺産分割調停の中で特別受益があったことを主張するという流れになります。調停で解決しなければ審判になり、裁判所に判断をゆだねることになりますが、ここで納得できる結果がでなければさらに拮抗裁判所に申し立てをすることも可能です。

このように、特別受益と決まればそこからの遺産分割は算出方法もハッキリしているので比較的スムーズですが、決まるまでの道のりはけっして平坦ではありません。特定の子への援助はよく考えてから行うのが懸命といえるでしょう。

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