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厚生労働省による施設における虐待防止指導

あってはならないことですが、介護施設での虐待が事件になったこともありました。これを受けて厚生労働省は平成27年11月「養護老人施設従事者等によつ高齢者虐待の再発防止及び有料老人ホームに対する指導の徹底等について」という通知を各市町村に発しました。いったいどのようなものだったのでしょうか。

【通知の目的】
AS_79716384この通知は高齢者の権利と尊厳を守ることを目的にしています。そのために、介護施設の管理者が職員の置かれている状況、職場環境などを把握することをすすめています。なかでも、重要視しているのは職員のストレス対策です。行政は各施設に対して、虐待の防止、発見を行うよう勧告する内容になっています。

【通知の具体的な内容】
具体的な内容としては、虐待を未然に防ぐための研修、クレーム処理体制の整備、業務管理体制の整備、メンタルヘルスケアを充実させることなどが盛り込まれています。

とくに虐待の早期発見を強く呼びかけています。重大問題に発展する前に高齢者の安全を確保する必要があります。そのために、地域包括支援センターと市町村が連携し、市町村はより対応を強化し、介護保険法や老人福祉法に基づく権限行使をするようにすすめています。

平成14年に作成され平成27年に改正された「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」についても、再確認が促されました。さらに、最近急増しているサービス付き高齢者住宅にも適用するようにという再確認も行われました。

【高齢者虐待を防止する法律】
高齢者への虐待の防止は、平成18年に制定された「高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律」でも制度化されています。通称「高齢者虐待防止法」ですが、これによって、高齢者虐待の通報があった場合、市町村は立ち入り調査を行い、結果を書く都道府県に報告することが義務付けられています。

【高齢者虐待の実態】
この高齢者虐待防止法による調査では、ひとつの問題が浮き彫りになりました。家庭内で起きた虐待は通報の6割が虐待と認定されるのに、施設内では約2割にとどまっているという点です。近年、施設での虐待の通報数が急増しているにもかかわらず、なかなか虐待として認定されないのです。

AS_48360805これは「内部告発の場合、告発者は法律で保護される」という建前が必ずしも守られず、告発者が退職に追い込まれたり、名誉毀損で訴えられてしまうケースが多発しているのが大きな原因になっています。もし、施設に調査が入っても、職員は保身のために必ずしも本当のことを告げることができないのです。また、家族も他に頼れる施設がないなどの理由で、施設の言いなりになっていることも多々あります。高齢者の言い分が一切聞き入れられず、最悪の事態となるまで放置されてしまうこともあります。まして、高齢者が認知症ならば、真相は藪の中になってしまうことも少なくありません。

施設での虐待を種別に見てみると、殴る蹴るなどの身体的虐待が1位で、言葉による心理的虐待、介護放棄などが続いています。いずれにせよ、介護職員のストレスが根本にあることは間違いありません。とくに、人出が足りていなかったり、夜勤が多すぎるなど過酷な労働条件を強いている施設は要注意です。施設選びにあたっては、十分なスタッフを抱えていて、なおかつ職場の雰囲気が穏やかそうな施設を選択するようにすることを強くおすすめします。

……いかがでしたでしょうか。高齢者虐待については国の対策も講じられてはいますが、なかなか実像もつかみにくく、十分な対策が講じられているとはいえないのが現在のところです。今後ますますの改善が行われ、高齢者ひとりひとりが豊かな老後を過ごすことができるようにすることが急務といえるのではないでしょうか。

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